シンヤ先生のレッスンこぼれ話1

こぼれ話1

僕がまだ駆け出しの頃、おそらく20代の半ば頃だったと思います。
ある60代の女性が入会して、週一回30分の個人レッスンを始めました。
初心者だったので、僕はほとんどステップを教えず、とにかくフォローのレッスンに徹しました。
例えばブルースはステップ2種類だけ。ワルツのステップはフロア半周分だけに絞り、ひたすら繰り返しました。

教え始めて3ヶ月ほど経ったある日、その女性が「実は・・・」と何やら笑みをこらえながら打ち明けてきました。
僕は「いい加減退屈だから他のステップを教えてくれ」と言われると思いました。
ところが・・・
話を聞くと、どうやら先週ひとりでダンスホールへ行ったとのこと。

僕「勇気あるねえ。まあ見学に行くのも向学のためには良いことですよ。」
女性「いえ先生。私、踊りましたよ。見知らぬ男性に申し込まれて。」
僕「え?・・・だってあなたはまだダンス歴3ヶ月・・・大丈夫でした?」
女性「大丈夫どころか、とっても楽しかったです。最後にね、あなた随分上手だけど、ひょっとして先生ですか?って聞かれたんです。」

僕は、驚きを通り越してしばらく言葉が出ませんでした。

僕「でも良かったです。僕もしつこくワルツだけをレッスンした甲斐がありました。」
女性「いいえ先生。私が踊ったのはタンゴです。」

このオチには思わず爆笑。何故なら僕はまだこの女性に、タンゴのタの字も教えていなかったのですから。


この話で大事なことは・・・

この男性は、今まで自分が踊ってきた経験者の女性より、この初心者の女性の方が踊りやすかったということです。

日本のダンス教室では、女性にも男性と同じようにステップを教え、自分で歩かせて教えます。
そのため上級者ほど自分で動こうとします。つまり男性のリードに従わなく(従えなく)なるのです。
それに比べて、男性の意のままに動かされるように仕込んだ僕の生徒は、まるで天使のように見えたことでしょう。


いかがでしたか?リードとフォローで踊るということは、こんなに価値のあることなのです。
覚えた「ステップの数」で上達を実感しようとしているあなた!
自己満足は、もう卒業しましょうね。

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